かりがねも既にわたらず

先日アメリカの東海岸を襲った大雪には驚かされました。雪かきなどで大変だった方も多いことと思います。

激しい雪をマンハッタンのアッパー・ウェストのアパートの窓から眺めていて、ふと思い出した歌がありました。

「かりがねも既にわたらず あまの原限りも知らに雪ふりみだる」

斎藤茂吉晩年の一首です。歌を暗誦しながら、この雪では鳥も飛べないだろうな、渡り鳥は皆もう南へ移動し終わっているのだろうかなどと考えていました。

その翌朝、外を見やると、何と雁の群れが次々に南下していくのが見えました。驚くほど高い空を、アップステイトの方からマンハッタン島を斜めに横切るかたちで南東方向に向かっていきます。これまであんなに高い空を飛ぶ渡り鳥は見たことがありませんでした。

鳥たちは徐々に高度を下げているようで、目的地はたぶんクイーンズのJFK空港の近くの湿地あたりなのでしょう。渡り鳥には見る人に畏敬の念を起させる力がありますね。鳥に向かって、思わず手を振っていました。

彼等は12月も遅い時期、1日の遅れを取り戻そうと必死だったのでしょう。去っていった「友人」のことを、ずっと考え続けました。

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