第5交響曲

先日この欄でベートーヴェンの第5交響曲のことについて触れたら、何人もの方が「自分もべートーヴェンをずっと聴いているんだ」と声を掛けて下さいました。中には「ベートーヴェンは自分の悩みを正当化するからねえ」と、訳のわからない(?)感想を口にされた方もいました。

人を好きになることに理由はないように、どんな作曲家に惹かれるかといったことにも理屈はないのでしょう。ただ、私がベートーヴェンを好きになった訳をあえて挙げれば、彼が間違いなく努力型の天才であったこと、その音楽は構成がはっきりしており、隅々まで緊張感が漲っていることなどでしょうか。

彼の音楽の持つ緊張感について、こんな話を聞いたことがあります。

1941年6月、ヒトラーのナチスドイツが独ソ不可侵条約を破って、突如ソ連に侵攻した時のこと。緊急ニュースに続いて、ドイツのラジオが放送したのはこの5番だったのだそうです。そして、ソ連側のモスクワ放送が開戦の第一報を速報した直後流したのも、同じこの5番でした。今戦っている相手国の音楽を!

それだけの重い瞬間を支えることができる音楽は、誰が考えても第5交響曲しかなかったということなのでしょう。ベートーヴェンにとっては迷惑千万な話でしょうが、こんなエピソードもこの曲の魅力と魔力を語ってくれるようです。

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