いわゆる「フタかぶせ」について

4月からの新しい番組編成について、皆様からたくさんのメールやお手紙を頂戴しました。まことに有難うございます。その中で特に多かったのが、「放送権・著作権の都合により映像を見られないケースが多すぎ、腹が立つ」という厳しいご意見でした。

この、いわゆる「フタかぶせ」の問題につきましては、テレビジャパンをご覧の皆様に大変ご迷惑をおかけしておりますことを、心からお詫び申し上げます。これまでも何度かご説明させていただきましたが、こうした事態の背景には、スポーツ、芸能関係の映像の権利を保有している団体が、自分たちが権利を有している映像が、世界のどの地域に流されているかを厳しくチェックするようになってきた、という事情があります。

中でもスポーツ放送権の取り決めは、ニュース映像の使用を含めきわめて厳格で、イベントの主催者は世界中の放送機関と、「どの放送局が地球上のどの地域を対象に映像を送ることができるか」という点に関する詳細な契約を結んでいます。世界の放送局は、そこで定められた放送権の範囲内でしか放送することができないのです。

たとえば北京五輪の場合、アメリカにおける「オールライツ」(地上波・衛星波・インターネット配信など)はNBCが独占しています。NBCは莫大な金を払ってオールライツの権利を獲得した以上、他の放送局が自社の保有している放送権を侵害していないか、チェックを怠りません。そして違反を発見した時は、非常に高額の賠償金を請求してきます。

先日行われたWBC(世界野球大会)の映像使用に関しても、厳しい「しばり」が掛けられました。皆様の叱声を背に、テレビジャパンが関係者に必死に働き掛けた結果、大会の後半になって1試合2分間の映像を国際放送に使用することが認められました。

一方NHKが、海外の放送機関が北米で取材した映像を日本国内の放送のために使用するケースはありますが、その映像を国際放送の回線に乗せて、北米地域に「送り返す」ことは認められていない場合が多々あります。

テレビジャパンでは東京のニュースの担当者と協力して、こうしたケース一件一件に対応していますが、放送時間に間に合わず、あのようなお見苦しい画面になってしまうこともあります。今後ともこの問題の改善には全力で取り組んでまいりますので、皆様のご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。

 

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