「フタかぶせ」について(再)

いつもテレビジャパンをご覧頂き、まことに有難うございます。

5月のプログラムガイドで「放送権の関係で見られない映像(いわゆるフタかぶせ映像)」が発生する事情についてご説明したところ、何人かの方から「映像を出せない理由は分かったが、それならニュースを時間遅れにしてもいいから、フタのない映像だけを放送したらどうか」という意見を頂きました。「全く見られないのならあきらめもつくが、中途半端に音声だけが聞こえてくるような時は、かえって腹立たしい」とのご感想もありました。

まずこのフタかぶせに関しては、我々も自分たちの商品を完全なかたちで皆様のもとにお届けできていないことに、申訳ないきもちでいっぱいです。ただ誤解のないように申し添えますと、フタのほとんどは日本から送られてくる段階でフタされたもので、ニューヨークで付加したものではありません。

そして東京の国際放送の送出を担当している人間も、「フタをしている間は時間の経過が極端に遅くなっているような気がする。海外でこの放送を見ている人のことを考えると、心臓が吊り上ってきて、1秒でも0.1秒でも早くフタをはずしたいと思う」と口を揃えて言います。

話がやや横にそれましたが、「では、なぜニュースを時差再生したりダジジェスト化したりしてフタをカットしないのか」という点についてご説明したいと思います。たしかにニュースを常時時差再生すれば、フタの掛かった映像は放送せずに済むかもしれません。しかしその場合、ニュースの何よりの生命である「同時性」という性格は失われます。

先日テレビジャパンでは、メルマガに登録されている方々を対象にアンケートを実施しました。その中で我々は「ニュースをどのようなかたちで放送することが望ましいか」お訊ねしましたが、それに対し圧倒的に多くの方々が「ニュースは生で放送してほしい」「フタが発生せざるを得ないとしても、ニュースは生でやってほしい」という希望を表明されました。こうしたご意向を踏まえ、テレビジャパンでは日本から送られてくるニュースや情報番組のほとんどを「生スルー」で放送しています。

もちろん一部のニュースについては、より多くの方に見て頂くために、リピート放送も行っています。そうしたリピート放送においては、我々はフタの部分をカットするようにしています。つまり生放送とリピート放送の間にフタの部分を編集で落としている訳です。複雑な編集が必要な場合は、文字通り綱渡りの作業になることもあります。

我々としましては皆様からの叱声を背に、日本の放送機関に対し、「海外配信禁」の映像が最少となるよう全力で働きかけています。皆様のご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。

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