冷蔵庫との対話

 

昼は職場の管理、夜は冷蔵庫の管理が自分の仕事だ。冷蔵庫という「職場」をどうマネージしていくか、限られた戦力とスペースを最大限活用していくにはどうしたらよいかという問題は、昼間の組織のあり方にも通じるところがある。

まず、職場も冷蔵庫も今そこにある戦力を最大限活用することから考えなければならない。駒の数やパワーが足りないからといって、安易に外部から新人を引っ張ってきてばかりでは、現在そこにいる者は文字通りくさってしまう。野球のジャイアンツのようなものだ。また基本的にはseniority systemを採るにしても、時には大胆な抜擢人事も行わなければならない。

で、現有戦力に最大限力を発揮してもらおうとするのだが、どうも自己主張に欠ける輩がいる。ベーコン君やじゃがいも君は誰とでもうまくあわせてくれて有難い存在だが、いまいちアピール力が弱い。

「ベーコン君!君は誰とでもうまくやってくれて感謝している。でもそろそろ『自分はこれをしたい。これは自分しかできない』ということをもっと言ってもいい時期じゃないかな。じゃがいも君!君も他人事みたいに聞いてちゃだめだ」などと言ったりする。

だが、ベーコン君やじゃがいも君からは、「便利に使っておいて、『僕には個性がない』って評価ですか」などと逆襲されて、オロオロしてしまう、

トーフ君に声を変えると、「また僕ですかあ」という声が返ってきたりする。彼には「仕事はいちばん忙しい人に頼めって言うじゃないか。頼まれているうちが花だよ。第一、納豆君を見てみなさい。毎日登板していたって、いつも楽しそうじゃないか」などと言って聞かせる。

職場でもありがちなことだが(テレビジャパンではありません!)、積極的に自己主張をしない存在に限って、自分にお声がかからないとふくれてしまいがちだ。そんなことが起きないように気を配る。

ほうれんそう君は力があるくせに、本番になると委縮してしまうところがあるから、いつも「自信を持てよ」と励ましている。

お米は炊いても一回で食べきれないことが多く、炊いたばかりのごはんをすぐに冷凍保存してしまうこともある。そんな時、白米君からは「あなたは僕のいちばんいいところを見ているんですか」などというクレームも出るが、「君のいちばん良いところは僕がいちばん知っている。ただ今日のところは勘弁してくれ」と言ってから、冷凍庫に異動してもらう。

ホント、大の男がブツブツ言いながら何をやっているんだろう、傍から見ればさぞおかしな光景だろうなと思いながら、夜の部の管理職業務に精励している。

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